恥ずかしいんだけど 3 次方程式のカルダノの公式の説明読んで、あまりしっくり来ないんだよな
方程式の係数からできる式は解の対称式でなければならないはずで、個々の解にたどりつくためには係数から決まらない何かを導入しているはずで、その辺がポイントなのかな
補助方程式u³+v³=p, uv=qの解の選び方のコンベンションじゃないかな…(実際にはu,vの入れ替えと3乗根の選び方で2×3=6通りの選び方があるので)
私も以前にまったく同じことが気になったことがあって、そのときの愚直に計算したメモを発掘したのでそのまま書きます。
代数学で習ったこと:対称性を放棄する
3次方程式の3つの解をとしましょう。これらの基本対称式、ととは値がわかっています。対称な多項式は基本対称式の和や積に分解できるので、それらの値もわかります。あと、1の3乗根を使います。
3つの解の対称性を、3次対称群→3次交代群 →単位元のみからなる群、という順序で放棄していきます。 の差積の定義をここでは
としましょう。これは不変で、の元の作用では倍されます。2乗した は不変、つまり の対称な多項式なので、値がわかります。
その を と開くときに、対称性を部分的に諦めることになります。このとき諦めた対称性が、との間の分です。あとのために、 やを考えておきたいんですけど、を展開した式
と、対称式
から、 と がを含む形で求まります。
について、まだ、の分、つまりcyclicに回す分の対称性が残っていてあとはこれなんですけど、このときには が有効です。 をこの順で回す置換をと書くことにしましょう。 はの作用によって倍されるので、その3乗はで不変、つまりで不変ですね。ということは、を含む形で値がわかるはずです。実際に、その値は
で、 やはさっきの計算でわかっています。このの式からを得るときに、残っていた対称性が失われます。
こうしてすべての対称性が失われたので、理論上、あとは四則演算だけでにたどり着くはずです。
は対称式なので、これをで割ればが(とを含む形で)わかって、1次の連立方程式
の右辺が全部できたことになります。逆行列を掛けて、
これがを与えます。例えば、は、
です。
実際の計算
となるように3次方程式を適切に変数変換しておきます。つまり、です。このとき、とです。
とは、よく知られた計算によってそれぞれ、とです。
の値は、
から、
と
がわかるので、
です。
なので、
実係数
の形をしているという条件の上に、さらに、もも実という条件も課しましょう。このとき、3解のうち少なくとも1つは実です。の正負によって3つとも実か、実解1つ・虚解2つであるかが分かれます(のときは、(実係数条件と無関係に)重解の存在が言えて、ここまでの議論よりもずっと簡単に解が求まります)。今は、が負であるとしましょう。実解1つ・虚解2つで、虚解は互いに複素共役です。
3つの解を、例えば、は実、は複素平面の上側(やと同じ側)、は下側である、というふうに決めましょう。こうすると、は複素平面の上側にあると決まって、より具体的な、実の根号に基づいた表記
を書いても良いことになります。こうして、
今は、とは互いに複素共役ですから、この3乗根は実です。その意味で、
これをに代入すると、
これらを
に代入して、良く知られている公式が得られます。